ジムから街へ
グローデニムは、heavy.が最初に作ったデニムです。
heavy.を立ち上げた2011年当時、日本にはクライミングのために作られたウェアはまだ多くありませんでした。
クライミングジムも今ほど身近ではなく、クライミングはまだ限られた人たちのための、少しマニアックなカルチャーでした。
それでも、これからクライミングジムは少しずつ増えていくだろうという感覚がありました。
ジムで登る人が増え、クライミングが日常の中に入っていくなら、クライミングウェアももっと日常に近づけるはずだと思っていました。
当時のクライミングウェアやアウトドアウェアには、ゆったりとしたシルエットや、カーゴパンツのようにポケットの多いデザイン、スポーツウェアらしいウエストゴムのパンツが多くありました。
動きやすさのために作られていることは分かる。
でも、自分が本当に穿きたいと思えるものは、あまり多くありませんでした。
作りたかったのは、もっとシンプルなパンツでした。
クライミングジムで本気で登って、帰りにチョークやホコリを払えば、そのまま街に出ていける。
好きな人と会う時にも、普通に穿いていける。
クライミングウェアでありながら、ストリートウェアとしても成立する。
そんなパンツがあったらいいと思い、自分で作ったのがグローデニムです。
普通のデニムに見えること
デザインで大切にしたのは、細身であること。
そして、余計なものを足さないことでした。
クライミングパンツでは、股部分にガゼットと呼ばれるマチを付けることがあります。
でも、グローデニムではその見え方が自分の感覚に合いませんでした。
後からパーツを足すのではなく、最初から股部分の動きやすさを考えたパターンにする。
そうすることで、ダボつきを抑えながら、すっきりとしたシルエットを目指しました。
膝まわりには立体的な設計を入れ、足を上げる、しゃがむ、踏み込むといった動きに自然についてくるように。
でも、見た目はあくまで普通のデニムに見えるように。
「これ、クライミングウェアなの?」
そう思われるくらいが、ちょうどよかったのだと思います。
heavy.という名前
heavy.という名前にも、少し反骨心があります。
クライミングやアウトドアの世界では、軽いもの、機能的なもの、合理的なものが良いとされることが多い。
もちろん、それは大切なことです。
でも、その逆側からクライミングウェアを考えてみたかった。
ただ軽いだけではなく、街で穿きたくなること。
ただ機能的なだけではなく、かっこいいこと。
ただアウトドアらしいだけではなく、日常に馴染むこと。
グローデニムは、そういう気持ちから生まれました。
最初のグローデニム
最初のグローデニムは、今のPRINTやICONではなく、赤いリボンテープをバッテンに配置したモデルでした。
そのテープには花柄が織られていて、遠くから見ると強い赤のバッテン。
近くで見ると、少し可愛い花柄が見える。
かっこよさと可愛さが混ざったような、少し不思議な一本でした。
そこから、よりストリートの印象を強めたPRINTへ。
そして、ジャケットを羽織っても自然に穿ける、ワンポイント刺しゅうのICONへと展開していきました。
自分に合う一本を選ぶこと
今では、グローデニムを男性にも女性にも穿いてもらえるようになりました。
クライマーには細身の人も多く、「XSサイズを穿いています」と聞くこともあります。
成人男性がXSを選んでいると知ると、今でも少し驚きます。
でも、それもグローデニムらしいことなのかもしれません。
体型や性別ではなく、自分に合う一本を選ぶこと。
ジムでも街でも、自然に穿けること。
動きやすく、日常に馴染み、長く穿きたくなること。
グローデニムは、heavy.の第一作です。
そして今も、heavy.のものづくりの基準になっている一本です。